汚れたつなぎでいたら、

「仕事は服でするもんやないで」

って言われた。

長くこの意味が分からなかった。

仕事をしたら服は汚れるだろう?

汚れてもいいように作業服なんだろう?

前に外注された先できれいなつなぎを着てたおじさんがいたけどその時の感想が、

「こいつ、仕事してないな」

だった。

通常沸き起こるであろうこの通念を覆してくれたのが、

「仕事は服でするもんやないで」

という、この嫌味な言葉である。

この理論はどこからやってきたのであるか?

なんて考えていたら、最近わかった。

同業者との会話の中でである。

エンジンからの油漏れで、さるディーラーのサービスがエンジンの載せ替えの見積もりをしたらしい。

あまりの高さに困ったお客さんが、引退後の修理屋のおじさんに見てもらったらオイルクーラーのパッキンが傷んでいて修理代が十数万円で済んだらしい。

そこまで聞いて、

「ああ、そうか!」

と思った。

最初、お客さんは服で判断するけど修理ができるかどうかはそれにあたる人間に依存します。

結局は服ではなく、修理する人間なんだ

って事を誰かから聞いて間違って覚えてるんだな。

それが、さも分かったかのように出てきた

「仕事は服でするもんやないで」

というセリフなんですね。

これなら納得です。

バカバカしいけど、つまらんことで頭のリソースを使っちまいました。

人の話は当てにならんですね。

きれいな服だとイメージはいいけど、そいつは仕事をしないか、よそ行きの服を着てるだけなのである。

それが現実である。