サラリーマン時代に社長が言った。

「今度増資するから」

僕は思った。

それが僕に何の関係があるの?

意味が分からないままにその後退職したのであるが、もしかしたら給料が増えるという話だったのか?

たとえ昇給しても、小遣いの変わらない僕には何の影響もないのであった。

いやむしろ、昇給したんだから売り上げを上げろという事にでもなれば、かなり影響がある。

昇給しても奥さんは、

「あれだけ働いてるんだから当然よ」

的な言い方をするだろう(してきた)。

これは板挟みになる自分がかわいそうだと思ったものである。

よく考えたら、誰かのせいにして誰かを利用しようというロジックは日本社会ではもはやスタンダードである。

「少子高齢化で社会保障費やら税金を上げないと大変なので上げます」

っていうあのシンプルな論理は典型的なものではないだろうか?

少子高齢化はお前たちのせいだみたいな感じがする。

それは自然現象なのかもしれないし、過去の政治の失敗なのかもしれない。

少子高齢化にかなりの影響をもたらしたのが、過去の社会保障費増額と消費増税であったと思われるのに、それを増やす理由がまたそれかいみたいな気もする。

いずれにせよ、何か(あるいは誰か、もっと酷いのになると、あんた)のせいだからこうしますよってなし崩しにやってくる災厄。

言われた本人は素直に、

「ああ、そうなんだな、自分のせいだな」

なんて自分を責めながら奴隷として落ちていく。

誰のせいでもないから、今この現象をどうにかしようとしようよ!

なんて、思う人は少ない。

理由ばかり考えてて実行する対策は、今までの延長でしかない。

なんででしょうね。

楽だからかな?

いや、自分のせいだって言われたくないという一語に尽きるのでしょうね。

どうにかこの思考習慣から脱出したいものです。